精神的ジャパニーズドリーム~理念の革命~

   新時代の日本のあらゆる分野において、「精神的ジャパニーズドリーム」を起こしてゆくための根本理念を提示します。

『新時代の法思想家によせて』(5)   天川貴之

 

 かつて、プラトンが理想とされた法律のあるべき姿もまた、理念を体現した法律なのであり、かかる法律の下に生きる人々が、徳性が豊かになり、向上し、発展してゆくような法なのである。

 すなわち、我々の人格の尊厳が、自分自身の定めた格率に主体的に従うことによってのみから得られるのではなく、自ら定めた所の格率が普遍なる道徳律に合致したものであった時に初めて得られるものであるならば、市民社会の尊厳もまた、市民の総意に基づいて定められた法律に主体的に従うことによってのみから得られるのではなく、市民が自ら定めた所の法律が普遍的なる自然法に合致したものであった時に初めて得られるのである、という真実を考えてみると、我々が定める所の法律が、何よりも普遍なる自然法に合致し、より高く、より深く、より広く、一なる価値を体現していることが望まれるのである。

 かつて、プラトンは、理想国家を考えるに際して、「哲人王」という理念を中心に据えられたが、これは、真なる哲人が、理念、すなわち普遍なる自然法を認識し、理念を体現した政治を行うことによって、そこに生きる人々を限りなく「よく生きる」人々へと導いてゆくためのものであり、その根底には、対話を通して、人々に理念とは何かということを知らしめ、魂の覚醒と、徳と、幸福を与えんとしたソクラテスという大教育者の姿があったのであろう。

 

(つづく)