「新時代の教育者によせて」(1) 天川貴之
新しき時代精神となる若者達を、その全人格的感化をもって育て導くことこそ、教育者の使命である。
古き時代が終わり、新しき時代が始まる時、新しい文明の種子を宿した若者が、時代の狭間の風をうけて育たんとする時、誰よりも早く、高く、正確に、新時代の風を直観し、自らの心の内なる魂の声によって、向かうべき方向性を示す者こそ、時代の先駆者である教育者なのである。
その意味で、真なる教育者は、新時代の産婆役であり、新しき精神を生み落とす際に、必ず立ち会うべき魂の師である。
魂の師とは、魂を導き、一人一人の内に眠れる理念を導き出すための先生である。
知識を教え、技術を教えることは比較的容易であるが、真の意味で、魂の師として、一人一人の内なる理念に感化を与えてゆくことは、一朝一夕になせる業ではないし、万人のなせる業でもないかもしれない。
しかし、いつの時代にも、一人一人の内に眠れる時代精神に、生命の息吹を与え、大いなる理想と、志と、情熱を与え、永遠の真理、永遠の愛へと導く師は存在し、一握りの魂の師によって初めて、天才的青年は、その内なる天分を最高に開花させえるのである。
(つづく)
by 天川貴之