「新時代の教育者によせて」(4) 天川貴之
このように、一つの新時代の精神、新時代の理念は、同時代に、多少の年齢と多少の地域を離れて生きる数多くの天才達の心の内に分有され、それぞれの個性に分かれて内在されているのである。
その一つが真に目覚めてゆく時に、その個性ある生命の躍動は、確実に、他なる個性ある生命の躍動を引き起こし、連鎖反応を起こさせてゆくものなのである。この連鎖反応の最初の点火役をなすことが、真なる教育者の使命である。
そのためにはまず、何よりも、自分自身が一なる新時代の息吹を感じとり、自分自身の内に与えられている所の固有の使命に目覚めていなくてはならない。
心の底からつきあげて止まぬ所の生命の躍動があることが、魂の師たるべき条件である。かかる一つの火があってこそ、他の青年達の内に眠れる新時代の精神に火を点ずることが出来るのである。
魂の師が、真に自己の使命、時代の使命に目覚めておれば、無言のうちにも、瞬時に、一人一人の内なる使命に生命を与えることが出来る。
しかし、魂の師を目指す人物が、真に自己の使命に目覚めておらねば、何万語を費やし、何年何十年を費やそうとも、一人の天才をも真に育てることは出来ないであろう。
一なる精神に真に目覚めた時、同時代に生ける天才達はすべて、一なる精神のもとに、一体であることがわかる。
一なる時代精神に目覚める時、教育者は、真に無私になれるのであり、その教え子を真に愛しきることが出来るようになるのであり、故にこそ、彼らを、真に育て導くことが出来るのである。
また、教え子の方にしても、かかる大愛が根底にあるからこそ、一見、どんなに厳しい指導がなされ、少数精鋭の教育がなされようとも、常に克己し、魂の師を信頼しきり、その指導的愛に報恩の愛でもって応えるべく、全身全霊をかけて、精神を磨こうとするのである。
(つづく)
by 天川貴之