「新時代の芸術家によせて」(1) 天川貴之
大自然のありとしあらゆる存在は、すべて神の芸術作品である。
どのような偉大な人間の芸術的営為をもはるかに超越したものに我々は囲まれ、それを当然のことのように受け入れて生きている。
しかし、それらをよくよく芸術作品として観察してみると、たとえ一本の草木であったとしても、最高の彫刻であり、同時に、最高の絵画であり、そしてまた、その生成流転してゆく姿は、最高の文学でもある。
一粒の小さな種が大きく成長し、花を開き、果実をつくり、枯れてゆく過程は、一編の叙事詩、一編の交響曲のようにも思えるし、春から夏になり、秋から冬になり、一年の四季が巡りゆく様は、生命の持つ多様な個性ある美の可能性を我々に教えて下さる。
(つづく)
by 天川貴之