「新時代の芸術家によせて」(4) 天川貴之
かの老子は、大自然の水の中に至上の徳を見出され、そこに、無我なる愛の姿、万物と調和する姿、限りなく謙虚な姿を看取されたのであり、同じような教えを数多くの聖人が水より学びとっておられるのである。これもまた、地球という大生命の崇高なる精神の一部が水となって顕れているものなのである。
水は、ある時は川となり、ある時は湖となり、またある時は海となり、様々に姿を変えながら我々を教え導こうとしているかに思える。
我々は、川の流れの中に諸行無常の真理を見出し、川の粒子一粒一粒の中に諸法無我の真理を見出し、無執着の美徳を感じ取ることが出来る。
様々に悩んだ時に自然と川の流れが見たくなり、川の流れを見ている内に心が安らいでいくように思えるのは、大自然が、川の流れの形をとって我々の精神を大いなる精神へと導いて下さっているからなのである。
また、湖の静寂な湖面は、地球の心の平静の美徳の顕れであり、海は、万象万物を育み包容する愛の顕れであり、我々は、湖や海の姿に触れながら、その精神に大きな変化を受けているのである。
(つづく)
by 天川貴之