「新時代の詩人によせて」(2) 天川貴之
現代人の心をもし絵に描くことが出来たならば、きっと、ビルディングの形や、事務所机の形をしているにちがいない。
それに比べて、ギリシャの詩人達の心は、きっと、あのエーゲの海のように広く、透明なブルーをたたえていたのであろう。あのオリンポスの丘の神殿のように、白く、清く、そして雄大にそびえ立っていたのであろう。
ギリシャというのは、何故に、何千年も後の人々にさえ、その神秘の憧れを感じさせるのであろう。
例えば、現代のこの日本の姿を、これより数千年後まで現代人は誇りに思い、永遠の憧れと感動を抱きつづけることが出来るのであろうか。
この、本来美しい日本の国において、もしも、かつてのギリシャによせる詩情のようなものが湧き出づることがなかったならば、それは誰の責任でもない、現代の日本人自身の責任である。
美しい生活、美しい人生、かかる生き方を忘れ去って久しいのは、日本人が「日本の心」というものを忘れた所から発するような気がしてならない。
(つづく)
by 天川貴之
(JDR総合研究所・代表)