「新時代の映画監督によせて」(3) 天川貴之
近代において最大の戯曲家であるシェークスピアもまた、その悲劇を書かれる時に運命に翻弄される人間をテーマにされたが、ソフォクレスやシェークスピアを最高の戯曲作家たらしめているのは、技術的なものではなくて、その奥にある人生と人間、そして、それを貫く運命そのもの、いや、神の業の法則そのものに対する洞察の高さ、深さ、広さなのである。
かかるものが神の法則を穿つものであったからこそ、幾万幾億の戯曲が創られた中で、彼らの戯曲のみが永遠に語り継がれ、永遠に時代と地域を越えて人々の魂を奥深く感化し続けるのである。
このように、我々は、常に自らの言葉と思念を主体的なる自由に基づいて発することが出来るし、主体的に自らの人生を形創ってゆくことも出来るが、同時に、その一つ一つに対する神の法則による応答があり、神の応答に基づいて、我々は人生の方向を決定づけられていっているのである。
(つづく)
by 天川貴之
(JDR総合研究所・代表)