「新時代の小説家によせて」(3) 天川貴之
私は、小説を読む度に、神は小説を書くようにして世界を創造されて、また、されつつあるのではないかと思うことがよくある。
我々が生きている世界とは、実は、小説の中の世界の如きものであって、この世界からは感じることの出来ない次元の世界で、神は我々の世界を構築されようとしておられるのかもしれない。
それは、小説の登場人物が、小説の中で思考し、行動し、人生を考えているように見えても、決して作者のことはわからないのと同じように、我々もこの世界の作者である神の意図を知ることが出来ないのであろうか。
また、小説の中では、それぞれの人物がそれぞれ個性を持ち、主体的に動いているように見えて、実は、作者の意図のままに語り、行動しているように、もしかしたら、我々も自分自身で言動しているかのようにみえて、実は、自分自身は神のセリフを言っているだけではないだろうかと考えてみることもある。
しかし、そのように考えてしまうと、人間が、神の一部として、神の思考力の一部と、神の自由創造力の一部を与えられているという真理を否定してしまうことになるから、おそらくは、それは極端な見解なのであろう。
(つづく)
by 天川貴之
(JDR総合研究所・代表)