「新時代の音楽家によせて」(1) 天川貴之
音楽とは、決して単なる物理的なる音の響きではないのである。その元にあるものは、心の調べであり、心の旋律である。
心の中に響いている所の音楽的旋律が、形をとって様々な楽器の音色を通して現れたものが、我々の通常聴いている音楽なのである。
かつて、アリストテレスが、「リズムとメロディーは、音であるにすぎないのに、どうして心の状態に似ているのであろうか。」と探究されているが、音楽的旋律とは、その本質において、心の状態そのものなのである。
故にこそ、我々が崇高なる格調高い調べを聴いた時に、心を深く動かされるのであって、我々の心を動かしているものは、音を通して語られる作曲者の心そのものであり、我々の感情を高揚させるものも、我々の感情を平安に導くものも、すべて作曲者の高揚した感情であり、平安に満たされた感情なのである。
(つづく)
by 天川貴之
(JDR総合研究所・代表)