「新時代の芸術家によせて」(2) 天川貴之
春には春にしかない独特の美しさがあり、春の雰囲気は、あたかも優しく暖かく悦びに溢れた音楽のように大自然に響き渡り、その音楽に合わせるかのように、草木や花々は春の絵画をもって身を装い、悦びと希望に満ちた躍動を彫刻として表現している。
それは大自然の呈示した「春」という理念に従った、一糸乱れぬ一大総合芸術でもある。一なる春という理念の下に、あらゆる生物がそれぞれの個性に応じて具体化しようとしているのである。
確かに、ありとしあらゆる生物は、大自然の春の声を聴き、一なる声の下に、己が生命を限りなく素直に成長させていかんとしているに違いない。
春の日には冬の雰囲気をもった何物も存在せず、すべての生物が春を醸し出すための一助をなしている姿を見ていると、大自然は全て一つにつながっており、全体としての大きな生命なのであるということがわかる。
(つづく)
by 天川貴之
「新時代の芸術家によせて」(1) 天川貴之
大自然のありとしあらゆる存在は、すべて神の芸術作品である。
どのような偉大な人間の芸術的営為をもはるかに超越したものに我々は囲まれ、それを当然のことのように受け入れて生きている。
しかし、それらをよくよく芸術作品として観察してみると、たとえ一本の草木であったとしても、最高の彫刻であり、同時に、最高の絵画であり、そしてまた、その生成流転してゆく姿は、最高の文学でもある。
一粒の小さな種が大きく成長し、花を開き、果実をつくり、枯れてゆく過程は、一編の叙事詩、一編の交響曲のようにも思えるし、春から夏になり、秋から冬になり、一年の四季が巡りゆく様は、生命の持つ多様な個性ある美の可能性を我々に教えて下さる。
(つづく)
by 天川貴之
「新時代の志士によせて」(10) 天川貴之
新時代の革命を担う志士達よ、時期は到来したのである。あなた方が、すべからく自己の真なる生命そのものである理念の使命に目覚める時期が来たのである。
大いなる理念の志を持て。そして、自己の理念の志に常に敬虔な尊敬の念を払い、常にこれを高め、純化してゆくことに精進せよ。
孟子の云われた「至誠にして動かざるものは未だ之れ有らざるなり。」とは、普遍の真理である。
あなた方が大いなる理念の志を掲げ、自己の内に眠っている永遠普遍なる至誠をもって、時代を駆け抜けてゆかんとされる時、人々の心も、天の心も、真に深く深く揺り動かしてゆくことが出来るのである。
かかる真なる理念の生命に目覚めた志士達が、己が理念の志士道精神を最高に発現して初めて、新しき回天の事業、「理念の革命」は成就するのである。
新時代の志士達よ、すべからく新時代の熱い熱い息吹となって、理念の時代を駆け抜けてゆけ。
(おわり)
by 天川貴之