「新時代の学者によせて」
そして、特に、新時代の学者像としてどうしても大切なことは、総合的な視野を持ち、すべての学問のつながりを理解し、その本質的同一性を看破することである。 手も、足も、目も、耳も、独立して存在するのではなく、人間そのもののために有機的に存在するも…
本の中にある思想をよくよく味わい、それぞれを比較してみた時に、そこに無限の高さの違いと個性の違いがあることに気づく。ある精神は巨大なエベレスト山の如しであるが、ある精神は庭を歩く蟻の如しである。ある精神はあの大空の如しであるが、ある精神は…
しかし、真に学問を究めようとするならば、いつか精神の父を超えてゆくことを目標としなくてはならないであろう。 確かに、古典にあるような精神を部分的にも超えることは限りなく難しい。一生かかっても、かかる精神的成長を遂げる学者は、万人に一人もいな…
やがて、肉体的にも成長して、知性や理性が発達してゆくと、人間は、活字を通して、多くを学ぶことになる。狭義の意味での学者とは、やはり本を通して学業を積んでゆく。 では、本の本質とは何であろうか。それは、他の人の精神そのものである。外界の経験に…
人間にとって学ぶということは、生まれ落ちてより死ぬまでの終りのない仕事である。 人間は生まれながらにして自由であるという言葉もあるが、人間は生まれながらにして学ぶものであるという定義をしてよいだろう。 人間の本質に「学ぶ」という本性がある以…