『新時代の医学者によせて』(5) 天川貴之
現代の医学は、物質的な医薬療法が中心であり、それも大切ではあるが、こうした物質で治すことができないとされている不治の病でさえ、本来すべて治すことができるのである。
それは、外から与えるものの力によって治すのではなく、患者本人に備わっている所の無限の治癒力を、いかに最大限に引き出すかということに、その根本があるのである。
人間の心の奥の奥には、無限の力が秘められているのであって、無限が無限であるというかぎりは、本来すべての病を癒す力があるということであり、この能力において不可能はないのである。
病というものは、本来、自分自身の体が創ったものであるから、本来、自分自身で消してゆくことができるはずなのである。
我々の肉体は、母の胎内の中で無から生じたのであり、本来無かったものなのである。
そのことを考えてみただけでも、無からこれだけの完成された合目的有機体である肉体を創ってしまう神秘の力がある以上、後天的に創られた病を癒すことぐらいは、本当に簡単なことであるということがいえるであろう。
よくよく生命の世界を眺めてみれば、人為をはるかに超えた智慧が、万物を存在せしめていることに気がつくであろう。
我々は、未だに、どんなに医学を駆使しても、自然再生機能と、自然治癒力をもった有機的生命体を創ることはできない。
それは、無から有を生ぜしめ、形あるものを形なきものに変え、そしてまた、別の形のものに変えてゆき、その個性、その性質まで別物に変えてしまう。
この神秘の製造工場をみた時に、ここでは本来必要なものは何でも創ることができるのではないかとさえ思えてくる。我々が限界を制定していることも、これらの生命の製造工場はやすやすと超えてしまう。
万象万物は、すべて神秘の智慧によって生かされている。自分自身の力によって生きているものなど、一つもないのである。
(つづく)