『新時代の学生によせて』(7) 天川貴之
以上、学生によせて、智慧に目覚めるための方法について述べてきたが、学問の場とは、本来、学生が真なる智慧に目覚めるための場であり、そこで、たとえいかに多量の知識を身につけたとしても、自己の精神的知性が目覚めてゆかなくては、大学は、本来の意義を見失っているといえるのである。
その意味で、「理念の革命」が一番初めにおきなければならないのは、学問の場であり、学生達の間である。「理念」とは、古いものでも滅び去った思想でもない。今も価値あり、未来も価値ある、永遠普遍の思想なのである。
学問の核とは、本来、哲学であり、理念の智慧なのであり、真なる学問的知性の根源は、広義の哲学的知性であるといっても過言ではないのである。
理念の学は諸学の学であり、すべての学問を統合しながら、すべての学問に本来の生命を吹き込んでゆくものである。それはまさしく、本来の精神的血液を押し流してゆく心臓であるのである。
学生達よ、すべからく真なる智慧、理念の智慧に目覚めよ。自己の内奥に永遠に眠っている所の理念に目覚めよ。
あなた方が真なる理念に目覚め、真なる智慧者となっていった時、すべての世界の事象は、一握りの理念の種子が展開しているものであるから、あなた方の内に育った理念の種子が、自ずから、大学を変えてゆくのみならず、社会全体、国家全体、世界全体、歴史全体を変えてゆくことになるはずである。
新時代の「理念の革命」は、あなた方の精神の内においてまず成就され、かかる智慧の輝きに射照らされるようにして、世界において成就してゆくのである。
学生よ、真なる学生たれ。真に「理念」と共に生きよ。「理念」の中に生きよ。永遠への道を生きよ。そこに、新時代の燭光があるのである。
(おわり)