「新時代の経営者によせて」(1)
新しい時代を創造してゆくためには、どうしても、フロンティア・スピリットを持った経営者が出現してこなければならないのである。
では、いかなる所に未開拓なるフロンティアが存在しているのであろうか。その最たる所は、経営哲学、経営フィロソフィーの面である。
ほとんどの人々は、現象的なるものばかりに眼を奪われて、現象の背後にある所の法則について考えようともしない。そして、一時的な成功と失敗について一喜一憂しながら、刹那的目標を達成せんとして、あくせくとしておられるのである。
しかしながら、よくよく経営者としての使命と本質という原点に立ち返って、自己観照してみると、それが、如何にはかない幻想のような経営形態であるかということが分かるのである。
すべての現象の背後には、確固不動たる理念がある。この理念とは、法則でもある。特に、経営の分野であれば、成功の法則、繁栄の法則、発展の法則というものに心を向けてゆかねばならない。
一つ一つの成功も失敗も、すべてこの法則を知るためのよすがとして受けとってゆかねばならない。
それであって初めて、真実の意味の智慧が生まれてゆくのであり、この智慧を愛する者こそ真実なる哲学者であり、真実なる経営的智慧を自らの内に蓄えておられる方こそが、真実の哲人経営者であるといえるのである。
(つづく)