「新時代の経営者によせて」(6)
経営者とは、「人を使う」立場にあるものであるが、真実に人を使うということは、真実に人を生かすということである。
そして、真実に人を生かすということは、その人の内なる理念を最高度に光輝かせるということなのである。これは、適材適所という言葉の奥にある真理である。
一人一人の個性とは、その内に無限の力を有しているのである。
その個性を生かしきらない限りは、有限の卑少なるものしか導き出せなかったものでも、その個性のミラクルポイントを発見し、その個性の理念の力を導き出すことが出来たならば、まさしく奇跡的な革命的な仕事を、成果として顕わしてゆけるものなのである。
かかる仕事仲間、仕事をする同志の内に、真実なる理念を発見出来なければ、経営者としては、充分な使命を果しているとはいえない。
ましてや、足らざる所ばかり見え、悪い所をより一層悪くしてゆくような人の使い方しか出来ない経営者は、失格であるといってもよいであろう。
人を真に生かして、成功しないということは、ありえないことであるのだ。それだけの無限の力が、一〇〇%、一人一人の内には眠っているのである。
(つづく)