『精神的ジャパニーズドリーム』 はじめに 天川貴之

　かつて、アメリカンドリームの精神的支柱として、エマソンという思想家が活躍された。エマソンは、アメリカの時代精神となって、高らかにアメリカ人の「自己信頼」と「積極的精神態度」と「自己内在の無限力」を謳いあげられ、「大いなる夢」に向けて、万人の精神性を無限へと解き放たれた。

　彼はその中において、アメリカの伝統的な宗教性に基づきながら、限りなく普遍的な「神」の精神性への回帰を訴えかけられた。すなわち、アメリカンドリームとは、その根底において、限りなく普遍的な宗教性と確固とした精神理念を基盤にして開花した人間精神の光明の華であるということも出来るのである。

　新時代に向けて、今の日本に最も求められているのは、本当の意味での新しき日本精神の源となるに足る思想であり、日本独特の理念を限りなく普遍化できる思想であると思う。

　そして、これより後、日本に、今までの物中心のジャパニーズドリームではなくて、限りなく精神性の高いジャパニーズドリームが起こってゆく上で最も大切なことが、その土台となる根本理念と根本思想を提示することであると感じている。

　故に私は、かかる新時代の到来を高らかに告げ知らせる思想家として、また、新しい「精神的ジャパニーズドリーム」の時代を告げ知らせる思想家として、日本の春の時代の到来を高らかに謳いあげることを「天命」として感得して、これらの文章を著述させていただいた。

　この新しき「精神的ジャパニーズドリームのビジョン」は、潜在せる理念として万人の心の内に既にあり、多くの方が、多かれ少なかれ、感じ取っておられるものであると確信する。

　そして、万人の心の内にある所の唯一無二の個性的理念に向かって、その大いなる夢を開花させていただきたいという切なる愛の念いをもって、渾身の力をこめてこれらの文章を綴った。

　これより、必ずや、新しき「精神的ジャパニーズドリーム」の光明の大輪が最高最大最強最深最至に咲いてゆくことを、大いなる悦びと希望に満ちて待望する。