「新時代の心理学者によせて」(4) 天川貴之
さらには、ユングは、人類の共通な「集合的無意識」が存在することを述べておられるが、これを日本にあてはめて考えると、「日本の無意識」ということになるし、地球であてはめて考えてみると、「地球の無意識」ということになるし、宇宙であてはめて考えてみると、「宇宙の無意識」ということになるのである。
これは、それぞれ、日本の理念、日本の実相などと置き換えてもよいものである。理念も実相も、心の内奥にある永遠普遍の実在だからである。
例えば、今後の精神的ジャパニーズドリームの時代精神を考えてみる時に、「日本人の集合的無意識」とは何か、「日本の理念」「日本の実相」とは何か、ということを探究してゆくことが大切になってくるのである。
例えば、日本の伝統を表すものに「古事記」があるが、これなどは、それが歴史的事実に符合しているかどうかということとは別に、日本人の集合的無意識を象徴しているといえるのである。
例えば、天照大神の岩戸隠れの物語や、伊邪那岐、伊邪那美の国生みの物語、大国主命の物語などは、日本人の集合的無意識であり、それを、一人一人の日本人が何らかの形で「元型」として抱いており、人生の中でも、国家においても、実現せんとしている傾向があるといえるのである。
この「日本人の集合的無意識」こそが、永遠の日本であり、日本人に生まれた以上、心の内奥には、誰もが同じ無意識を共有しているといえるのである。
しかも、この共通せる無意識は、時代によってそれぞれの表情をもちながら、地上に実現せんとし、人々をして背後から突き動かしてゆくのである。
(つづく)