『新時代の経済思想家によせて』(4) 天川貴之
さらには、愛についても、愛の心を深く大きく高くもって仕事をするのと、かかる心なしで仕事をするのとでは、明らかに違った仕事となるのである。
真に大成した経営者の多くが、自らの成功の最も大きな源を愛や感謝や素直さや明るさなどの精神態度や心のあり方に帰しておられるのは、いかに経済人の心のあり方が大きく経済活動に影響を与えるかということを証しているといえるであろう。
そもそも、人間関係を離れての経済活動などありえないし、人間関係を通して、経済は飛躍的に伸びてゆくのであるから、人間関係の根本となる心こそが経済の要であるといえるのである。
このような、経済諸活動を心の展開であるとする考え方は、従来の唯物論的経済思想に対するアンチテーゼであるともいえよう。
しかし、心を重視してゆくことは、決して物質的な経済法則を否定することではなく、物質的な経済法則の大切さも肯定した上で、より一層、人間にとって本質的な心を大切にする経済思想を重視してゆくべきであるということである。
これは、医学思想においても同じことであって、物質的な医学思想に加えて、より人間にとって本質的な心を大切にする医学思想を重視してゆくべきだとするのが私の立場である。
(つづく)