「新時代の起業家によせて」(3)
かつて、マックス・ウェーバーが、その著「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中で、プロテスタントの世俗内禁欲の精神態度が資本主義の中には流れており、この精神態度こそが近代の繁栄を創出する原動力になったということを述べておられるが、アメリカにおいては、このプロテスタンティズムのみならず、エマソン以来の伝統であるニューソートの精神、すなわち、唯心所現説に基づく積極的精神態度こそが、二十世紀のアメリカの大繁栄を創出する原動力となっているのである。
このように、ニューソートの思想は、資本主義の精神に新たなる理念を流入させ、新たなる資本主義を創出したともいえるのであり、資本主義に流れる自由の精神に対して改良を与えんとしたケインズ思想と並んで、いや、その実際の影響を考えてみれば、それ以上に重要な要素なのである。
これより、日本においてジャパニーズドリームのうねりを起こしてゆく原動力もまた、ニューソートにその源を汲みとりながらも、同時に永遠なる一なる繁栄の理念を体現しているような、新しき時代のための新しき成功哲学であろう。
故に、新しき時代の起業家とならんと志している方は、まず、念いにおいて大成功者たらんことを決意してゆくべきであり、その念い、その夢において、決して自己限定をするべきではない。
偉大なる夢こそが偉大なる人生を創造し、偉人を創造するのであって、小さな夢は、小さな人生と小人を創造するからである。
今の時代に求められているのは、平均的な小さくまとまった人材ではなく、全く新たな時代を切り拓いてゆくに足る巨人である。
その巨人とは、まず、夢において、巨人であることを実証するのである。そして、あらゆる抵抗や困難に面して、決してその偉大なる夢を後退させることなく、貫き通す信念をもって、自己の人生を創造してゆくのである。
(つづく)