『新時代の学生によせて』(4) 天川貴之
かつて、ストア哲学で述べられてきたことも、肉体的感覚的な欲求を戒め、精神的欲求、すなわち自己の内なる理性、良心の欲求に忠実に生きることの美徳と幸福であり、これは、近代では、ルソーやカント哲学においても、同様に美徳と幸福とされたものである。
また、そもそも、ソクラテスやプラトンの哲学においても、この精神や、良心、理性の欲求のより純化された真相である「理念」の欲求に忠実に生きることこそが、「善く生きる」ことであり、真なる徳と、永遠なる幸福の道とされたのである。
この内なる「理念」を育んでゆくことは、必ずや、後々に大いなる精神的果実をもたらすことになる。
学びの時には、永遠なる充実感を得ることが出来、学びを終えた後には、確実に永遠なる実りをつけるのであるから、「理念」を学び、体得してゆく道は、青春時代において、最高の投資であるといえるのである。
この「理念」への投資が、ある人は理念芸術として、ある人は理念思想として、ある人は理念政治として、ある人は理念科学として、真に多くの人々を幸福に導くことの出来る果実として、人生を彩ることになってゆくのである。
(つづく)