「新時代のビジネスマンによせて」(2)
この成功の法則は、普遍である。いつの時代にも、いつの地域にも通用する原理原則であるといえる。
この善とは、内なる理念の要請に合致して生きる所に生まれるものであり、これは、カントが「実践理性批判」の中で、内なる道徳法則の定言的命令に合致する所に善が生まれるといわれたことと同じである。
定言的命令とは、純粋な自己の内なる理念の命令のことであり、これに対置される所の仮言的命令とは、金銭欲や、名誉欲や、地位欲などの、地上的なる欲望を指しているといってもよい。
カントが、後者の態度によっては決して善は生まれない、といわれたが如く、私利私欲に基づいて、いくら成功を収めたとしても、真なる成功とはならないのである。
善とは、言葉をかえれば、愛である。愛とは、利他のことであり、見返りを求めない無償の愛のことである。
この愛こそが、理念の最たるものであり、その第一の属性なのである。
故に、愛と共にある時、その方は理念と共にあるといえるし、理念の永遠の幸福と共に生きることが出来るのである。
(つづく)