「新時代の教育者によせて」(3) 天川貴之
教育を通して、時代精神の実現のために生ききるとは、目にみえない程の根源的な感化を、天才の心の内奥に与えた時に初めて出来ることであり、かかる天才を育てた教育家も、また天才であって初めてなしえる業なのである。
故に、一人の天才的教育家の出現は、その周囲に、その時代の核となる、複数の天才達を集めることになる。
凡庸なる師は無数にいるのに、いつも一握りの天才的教育家のみが、その周りに異例に多い天才を集め、生み落としてゆくことになるのは、それ程、真なる教育家、魂の師となるべき人物は、それが天賦の才を必要とするが故に、極めて少数であるからであり、かかる人物は、独特の新時代の息吹を漂わせているが故に、新時代の理想を、潜在的に内に秘めたる直観力優れた天才的青年は、必ず、自己の内なる理想の火花と呼応する師を探し出すからである。
師の内にある理想、内なる天才と、教え子の内にある理想、内なる天才が時空を隔てて共鳴しあうことによって、大いなる時代回天の出会いが自ずからなされ、内なる理想と内なる理想の相乗効果によって、一人一人の心の内に示されたる所の新時代の精神が目覚め、その活動を開始してゆくのである。
(つづく)
by 天川貴之