「新時代の詩人によせて」(5) 天川貴之
だから、私は、あえて心貧しきあわれなる現代の人々のために、真なる詩人達が数多く出現することを望むのである。
複雑な現代社会においても、その心に屈託なく、素朴で、清らかで、美しい感情に満たされている詩人の出現を待ち望むのである。
かかる詩人は、現代においても、多くの美の天使達を観るであろう。そして、私達に、この世のものとは思えぬほどの美しい詩をもって、私達の魂を覚醒してくださるにちがいない。
おお、美しいミューズ達よ、この天上の神々の火花をもって、この地上を本来の美しき光で照らしておくれ。あなたのそのやさしい眼差しを、一度でもいいから、それを忘れ去って久しい現代の人々にかいま見させてあげてほしい。
本当の美しさを思い出せない数多くの迷い子達のために、そのやわらかなる笛の音色でもって、本当の心の故郷へと導いてほしい。
生まれるとともに忘れ、時折心かすめ、涙を誘いながらすぐさま消えてしまう、あの永遠の美の世界へと、多くの現代人の心を回帰させてほしい。
おお、美のミューズ達よ、あなた方は、現代という時代に美しく咲く神々の華である。
(おわり)
by 天川貴之
(JDR総合研究所・代表)