「新時代の映画監督によせて」(1) 天川貴之
人生というものは、それを観ずる者の内なる理念の掘り下げ方によって無限の輝きを放つ可能性を秘めている。
一見、平凡に見えた人生であっても、真に天才的な理念の眼をもって観じた時に、それは大いなる神の芸術に満ちあふれた一生であったことがわかるのである。
一人ひとりが何げなく使っている言葉、何げなく使っている思念は、すべて、一つ一つが妙なる力をもって人生そのものを創造している。
まさしく、その人の人生が一体どういうものであったかを知ろうと思えば、その方が過去発してこられた言葉と思念をふり返ってみれば、それがその人自身であって、その人自身の人生そのものであったことがわかるのである。
このように、我々は、自己の人生というものを、あたかも彫刻のように自らの一つ一つの言葉と思念の鑿でもって削ってゆくのである。
確かに、生まれた環境もあり、育った時代もあり、多くの友人達、知人達の影響もあったであろうが、少なくとも、そうしたものに対して一定の言葉と思念を抱き続けたことの責任は、何よりも自分自身の内にこそあったのである。
(つづく)
by 天川貴之
(JDR総合研究所・代表)