「新時代の芸術家によせて」(3) 天川貴之
地球という大生命は、我々には大きすぎてその全体像をつかむことが出来ない。
しかし、多様なる生物の一つ一つは、地球の生命の顕れの一つであり、地球の創った一つの芸術作品なのである。
あらゆる芸術家はその作品において己が精神を語ろうとするが、地球という大生命は、鉱物の中にも、己が精神の一部を託し、草木の中にも動物の中にも、そしてまた、人間の中にも己が精神を語らせているのである。
沈黙の内なる精神の調べがそこに流れている。それは秘められたる一冊の真理の書であり、また、美学の書でもある。
古今東西の教えが、よく大自然の一部を使ってたとえ話として語られるのは、その聖人が、大自然の中に無言なる教えを発見出来たからであり、また、それが可能であるということ自体が、大自然が、その内に無数の教えを内在させていることを示しているのである。
(つづく)
by 天川貴之